兎家ではオープンから7年で50人以上のベトナムバイク縦断旅のお客様をお見送りしてきました。
その際にライダーのみなさんに伝えてきたことを、ベトナムをバイクで縦断するためのポイントとコツとしてお伝えします。
ベトナムバイク縦断旅の参考にしていただければと思います。

 

運転技術と経験

最低でも日本である程度のバイクの運転経験を積んできてください。

ベトナムでバイクに乗ることは日本でバイクに乗るより技術が必要です。
交通マナーは日本と比較にならないくらい悪いですし、道路事情もかなり悪いです。

バイクツーリングに慣れておられない方は日本である程度バイクに乗りなれてからお越しください。
日本のバイクの免許はベトナムでは通用しませんが、少なくとも日本でバイクの免許を持っている程度の運転技術は取得して来てくださいね。

ベトナムでのロングツーリングは想像以上に体力(と気力)を奪われます。
ロングツーリングの経験のない方ほど想定より時間と日数がかかると思って、余裕を持った日程を組んでください。

 

日程の組み方

最低でも10日程は必要です。

ベトナムは南北に長い国で、ハノイからホーチミンまで約1,800kmもあります。
これは札幌から福岡に相当する距離で、ベトナムバイク縦断では高速道路がなく日本の一般道よりも道路状況が大変悪い道を走ることになります。

 

ベトナムは沖縄を含む南西諸島を除いた日本とほぼ同じ大きさです。
地図を比較すると南部ホーチミンから北部ハノイまではかなりの距離があることがわかると思います。

バイクの速度を平均35kmとし一日7~8時間走行するとすると、一日の走行距離は245~280kmで計算できます。
少し遅いと思われるかもしれませんが、信号で止まる、飲み物を飲むために休憩する、ガソリンを入れるということを考えるとだいたいそれくらいの平均速度になります。
バイクを一日乗り続けるのは思った以上に大変です。
特にベトナムの道は日本と比べてかなり状態が悪く、ロングツーリングに慣れている人でもかなり疲れると思います。
だいたい100㎞も走ればお尻が痛くなり、休憩せずにはいられません。
一日のバイク走行距離は200km程度とし、その範囲内にあるできるだけ大きな町に宿泊するのがよいでしょう。
ホーチミンからハノイまで約1,800kmですので最短でも10日程度はかかり、その場合では休日(観光)無し、トラブル(事故や病気)があったときの予備日無しですので、少なくとも2週間での縦断を想定して計画してください。
逆に言うと10日でも縦断することは可能ですが、それだとただの移動になってしまい、ベトナムを楽しんでいただくことができません。

「水曜どうでしょう」では1週間ほどで縦断していますが、あれはテレビ番組であり帯同スタッフやベトナム政府の協力があってできたことで特別だと認識してください。

道中でもしものトラブルがあった場合、予定通り帰国できない可能性がありますので十分に余裕をもって計画する必要があります。
なお後述する乗り捨てバイクレンタル店は、最低でも2週間のレンタルでないとハノイでの乗り捨ては受けてくれません。
バイクレンタル店も最低2週間での縦断を想定してレンタルしていますので、無理な計画を立てないようにお願いします。

また走行される時間は午前中から日が暮れる前、日の昇っている時間帯にしましょう。
地方の幹線道路は道路状況が悪く、道に大きな穴があいていたりすることも少なくありませんし、もし転倒してしまった場合は周りの車に気付かれにくいので重大な事故になる可能性があります。
実際に外国人観光客(ベトナムバイク縦断中と思われます)が2018年12月に夜間1号線を走行時、陥没した穴により転倒死亡した事故が発生しています。
現にベトナムの交通事故死の原因の一番は夜間のバイク転倒によるものと言われています。
ですので夜間の都市間移動は絶対にやめてください。
ちなみにベトナムの交通事故死者は年間約6,500人。日本は約2,600人です。
ベトナムの人口は約1億人、日本は約1億2,500万人、単純に比較はできませんが、数字ではベトナムでの交通死亡事故率は日本の3倍以上です。
日本と比べ交通マナーはかなり悪いですので、十分注意していただく必要があります。

 

モデルプラン

ホーチミン … ベトナム1の経済都市
↓ 約220km
ムイネー … 砂丘と漁村の町
↓ 約160km
ダラット … コーヒーの産地で高原リゾート
↓ 約210km
バンメトート … コーヒーの産地でゾウの町
↓ 約180km
プレイク … 少数民族が住む高原地帯
↓ 約245km
クアンガイ
↓ 約120km
ホイアン … ランタンの町(世界遺産)
↓ 約30km
ダナン … ベトナム中部の中心都市でリゾート地
↓ 約100km
フエ … ベトナムの古都(世界遺産)
↓ 約170m
ドンホイ … 世界最大の鍾乳洞がある町(世界遺産)
↓ 約170km
ヴィン
↓ 約200km
ニンビン … 奇石と渓谷、古都ホアルー(世界複合遺産)
↓ 約100km
ハノイ … ベトナムの首都

合計約1,800km(あくまでも都市間距離を計測したもので、通常の走行距離はこれ以上になります)
ホーチミン~ハノイを縦断した方の平均走行距離は2,000~2,100kmです。

「水曜どうでしょう」の影響もありハノイ→ホーチミンルートを選択される方も多いかと思いますが、兎家では断然ホーチミン→ハノイルートをお勧めします。
これはベトナムの交通事情が右側通行であることから、海沿いを走る際に右側の方が海に面しており景色が良いからです。
写真を撮ったり、景色の良いところで休憩したりするのに、ハノイから下ってくる旅だといちいち反対側にわたる必要があります。
ですのでルートを迷われているのでしたら、ホーチミン→ハノイのルートを強くオススメします。

 

バイクの選び方

乗り捨てレンタルバイクが便利です。

ベトナム到着後、まず最初に相棒となるバイクを選ぶことになりますが、相棒選びには二つの方法があります。

1.レンタルバイク

乗り捨てレンタルバイク。バイクレンタル店にてバイクをレンタル。
兎家がご紹介しているバイクレンタル店ではホーチミンにてレンタルし、ハノイにて返却が可能。ハザン、ホイアン、フエでも返却可。ただしハザン、ホイアン、フエの場合は別途返却料金が必要。
ハザン、ハノイ、フエ、ホイアン、ホーチミンの各店で借りることができ、各店にて返却可能。
1日単位でも借りることが可能ですが、2週間以上の場合は割引があります。
ミッション、もしくはセミオートマ、オートマ(スクーター)もあります。
ただし50ccのバイクのレンタルはありません。

レンタル料金
・1日レンタル 9~18ドル
・3週間レンタル 160~350ドル
・1ヶ月レンタル 180~400ドル
レンタルに伴うデポジット パスポートもしくは300~600ドル(バイクの種類によって金額は変わります)
デポジットで預けた現金は指定店舗到着後に返却されます。パスポートは郵送で指定店舗に送られます。

 

2.バイク購入

街の中古バイク屋にてバイクを購入する。
バイク価格は車体により大きく変わる。

参考価格
・HONDA Wave 400ドル~(セミオートマ)
・HONDA AIRBRAID 1,000ドル~(オートマ)
これは最低限の価格で新しいバイク、状態の良いバイクほど高くなります。
台湾製、中国製の安価なバイクもありますが、性能はかなり悪くオススメできません。

目的地到着後はバイク屋等でバイクを売却できます。
売却価格は購入額から少なくとも300~400ドルくらい下まわることを想定してください。
状態が悪いバイクには値段がつかないこともあります。
中国製、台湾製のバイクは値段がつかないことも多く、HONDAのバイクでも中国製は安く買い叩かれますし、同じく値段がつかないこともあります。
1,000ドル程度で購入した状態の良いバイクは800ドルくらいで売れることはありますが、400ドル程度で購入したバイクは200ドルくらいで売れることはほぼありません。

兎家ではバイクを購入されるにあたり、ホーチミン市内で中古バイクを売っているエリアをご紹介します。

 

ベトナムでの運転ルール

ベトナムは左側通行です。

日本でのバイクの運転に慣れておられる方でも、ベトナムの道路事情は全く違います。
まずもって車線が日本とは反対で左側通行です。交差点の右左折には最初は戸惑うことでしょう。
過信して運転される方はおられないと思いますが、ベトナム特有の運転ルールを知って運転していただければより安全に走行いただけます。

 

クラクション

日本でクラクションを鳴らすと威嚇する意味合いが強いように思いますが、こちらのクラクションは自分の居場所を伝えるための手段です。
例えば前のバイクを追い抜くとき、例えば道路を(少し強引に)左折するときなどにクラクションを鳴らしながら走行します。
ですのでクラクションが鳴ったからといって運転手が怒っているわけではなく、「ここに私がいるから気をつけてね」との意味になります。

交通ルール

ベトナムの交通ルールは日本とはかなり違います。
ベトナムでのバイク走行では法的にはNGですが、以下の走行が行われます。
・逆走
・歩道走行
・赤信号時の右折
また逆に以下の交通違反にはやたら厳格だったりします。
・ウインカー不点灯
・夜間走行時のライト不点灯
・信号停止時の停止線
正直言って日本人には意味がわかりません。
逆走していても取り締まられることはないのですが、ウインカーを付けずに曲がると警察に捕まります。
ですがここは郷に入りては郷に従え、これがベトナムの交通ルールだと認識し、(変な)ルールを守りましょう。

また万が一警察に捕まったとき、正規の罰金を請求されることは稀です。
ほぼ間違いなく警察に賄賂を請求されることになりますが、その際に持ち金全部持っていかれることもあります。
そんなことにならないよう、小額だけを入れたフェイクの財布を準備することをおすすめします。

【絶対禁止!飲酒運転】
飲酒運転はベトナムでも違法です。
近年警察の取り締まりも厳しくなっており、飲酒運転で捕まった場合は賄賂で済まないことも多いです。
最悪バイクの没収もありますので、絶対に飲酒運転はしないでください。

事前準備

ベトナムビザ

ベトナムは現在ビザ無しで45日滞在可能です。
もしそれ以上のツーリングをされる場合はビザが必要になります。
現在インターネットで取得できるビザは90日までのみとなります。

ベトナムのEビザ申請は以下から↓
https://evisa.xuatnhapcanh.gov.vn/web/guest/homehttpss://evisa.xuatnhapcanh.gov.vn/

 

日焼け対策

ベトナムの日差しは日本と比べ物になりません。
特に3~5月初旬はベトナムは一年で一番暑い時期になります。
南部では35℃を超えることも珍しくなく、乾季ですので雨が降って涼しくなることはありません。
半袖半ズボンでツーリングされる方はおられないと思いますが、必ず長袖長ズボンで走行してください。
これは転倒時のダメージを和らげるだけでなく、ベトナムの厳しい日光からも守ってくれます。
ベトナム人が暑くても一年中パーカーを着てバイクに乗っているのはこのためです。
日本の太陽より紫外線が強く、日焼けをし過ぎると肌の弱い方は火傷のように水泡ができ大変痛いです。
最悪ベトナムで買うことはできますが、長袖、長ズボン、ライダーグローブ、サングラス、日焼け止めを日本からご持参ください。
日焼け対策としても可能なら日本からフルフェイスのヘルメットを持ってきてください(ベトナムのヘルメットはかなり品質が悪いです)。

 

防寒対策

ベトナムは南北に長い国です。
南部は一年中夏ですが、北部には冬があります。
東南アジアだからたいしたことないと思われがちですが、ハノイの冬は普通に暖房器具が必要です。
11月~3月に北部を走行されるスケジュールを計画の方は防寒対策を準備ください。
ハノイより北では雪が降ることもあります。
ライダージャケットやグローブなどもしっかり準備しておいてください。

 

インターネット通信

長距離でローカルな場所を移動することなるので、インターネット環境を準備してこられる方がいいでしょう。
Maps.MeアプリならWi-Fiのない環境でも地図を見ることはできますが、なにかのときのためにインターネット環境を用意しましょう。

・eSimを購入する ←オススメ

徐々に主流となってきているのがeSimです。
これは物理Simではなく、オンライン上で購入でき簡単な設定ですぐにネットが使えるのでお勧めです。
しかもSimカードを買うより、ポケットWi-Fiを借りるより断然安い!

おススメはこちらairaloです。
https://www.airalo.com/ja

ベトナムなど1ヶ国だけで買うこともできますし、アジアといったエリアで購入することもできます。
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・ベトナムでSimカードを購入する

ベトナムでは空港や携帯電話ショップでSIMカードを購入できます。
DocomoやSoftbankなどで購入されたスマホはSIMロックがかかっていますが、どのキャリアも購入後100日ほど経過していた場合はSIMロックを解除できます。
ショップに持って行ってもいいですが、費用がかかりますので自分ですることもできます。

参考
https://hikkoshizamurai.jp/soldi/articles/method_of_sim_unlock/

SIMフリーのスマホを購入されている場合や海外でスマホを購入されている場合は、そのままベトナムSIMを使用できます。
プリペイド式が基本ですので、お金がなくなればチャージすればいつまでも使用可能です。
ベトナムには複数のキャリアがあり、プリペイドカードは同じキャリアのプリペイドを購入してください。
ベトナムの主なキャリアは以下の3つです。

Viettel Mobile
・MobiFone
・VinaPhone

どのキャリアも大差はありませんので、お好みでどうぞ。
通信SIMでも問題ありませんが、電話番号ありでも大した金額差はないので電話をつけておくのもアリです。
もしなにかトラブルがあったときは兎家にお電話くだされば、なにかお手伝いができるかもしれません。

・日本でポケットWi-Fiを借りる

日本でポケットWi-Fiを借りてくるとお持ちのスマホをそのまま海外で使用できます。
ベトナムはWi-Fi環境がとても良く、郊外の街でもほぼ問題なくつながります。
またどんな小さなローカルカフェでもWi-Fiを飛ばしており、どこでも無料で借りることができます。
ですのでWi-Fiをレンタルしてくる場合は高速である必要はありませんし、安いもので十分だと思います。

参考
https://kakaku.com/mobile_data/world-wifi/ranking.asp?ww_country=112

 

 

以上の項目を十分に検討(理解)してベトナムバイク縦断旅を計画していただければと思います。
なんであっても自己責任ではありますが、一番大事なことは無事に日本に帰ることです。
バイク縦断旅を成功させるのはその次であることを忘れないでください。
そのための準備は怠らないようにしていただき、笑顔でベトナムを出国していただければと思います。

少しのお金の出費をケチらず、縦断成功のためにも多少のお金を出すことも検討してください。
バイク購入やレンタルの際、少し高くても乗りやすいバイクを選ぶ。
新しい町に着いたらその町の名物料理を食べてみる。
数日に一回はいいホテルに泊まって静養する。
数日に1日は休暇日をつくる。
バイクで縦断することだけを目的にせず、ベトナム旅そのものを楽しんでもらえたらと思います。

もし兎家をスタート地点にしていただけたなら、できる限りのサポートをさせていただきます。
兎家をゴール地点にしていただけるなら、盛大にお迎えしますのでぜひともご連絡ください。
そのどちらでもない場合でもなにか困ったことや相談事がありましたら、お気軽にご連絡ください。

兎家はベトナムを縦断されるすべてのライダーのみなさんに、何かしらのお手伝いができればと思っています。
なんでもお気軽にご相談ください。

 

2018年3月にベトナム縦断バイク旅をされたお客様のYouTubeです。
大変参考になりますので、ぜひご覧ください。

 

兎家から自転車でホーチミンからハノイまで行かれたツワモノもいらっしゃいました!