戦争証跡博物館（ベトナム戦争博物館）

今しかできないホーチミン観光。
ということで、今日は戦争証跡博物館に行ってみました。

入場料は40,000VND（約200円）です。
これでもめちゃくちゃ安いですが、つい1～2年前まで15,000VND（約75円）でした。
ちょっと古いガイドブックには15,000VNDと書いてあるのでお気を付けくださいね。

入り口では体温を確認され、ヘルスチェックがありました。
名前と電話番号とコロナ関連の確認にチェックを打ってサインするだけです。

ゲートを通り、館内に入るまでにたくさんの戦闘機や戦車、戦闘ヘリなどが展示されています。

連日外国人観光客でごった返しているベトナム戦争の博物館ですが、当然のことながら外国人観光客がいない今、自分以外はほぼ来館者はいませんでした。

それでもやってるんだなーって思いながら入ったら電気すらついてなくて、僕の姿を見た係の人が順番に部屋の電気を付けてくれました。

約2年ぶりの来館でしたが、ほぼ毎日くらいお客様にここだけは行っておいで！と言っていたベトナム（とベトナム戦争）を知るのにとても大切な場所。
2年ぶりということでたくさんの気付きがありました。
当たり前なんですが、やはり戦争は悲惨だということ、犠牲になるのは一般市民だということ、極々一部の人が得をするだけだということ。

枯葉剤についても改めて理解し、今もまだ苦しみ続ける人たちを思うと胸が痛くなりました。
枯葉剤はアメリカが支援した南ベトナム（ベトナム共和国）の国内の熱帯雨林に撒かれました。
アメリカ軍も駐留する南ベトナム（ベトナム共和国）の国土に猛毒の枯葉剤を撒いたのです。
なぜ自国の国土ともいえる場所に枯葉剤を撒いたのでしょうか。
それはこの戦争は南ベトナム国民が南ベトナム政府の悪政に反発し、国民が政府と戦った、いわゆる内戦だったからです。

少しわかりにくいですが、このベトナム南部の地図で色が濃くされているところがより多くの枯葉剤を撒かれた場所だということです。

その結果、豊かな熱帯雨林は消え、ナパーム弾による爆撃で南ベトナムは焦土と化しました。
また大量にばら撒かれた猛毒であるダイオキシンを含む枯葉剤によりベトナムの人々に多大なる損傷を与えました。
ベトちゃんドクちゃんなどの結合双生児だけでなく、たくさんの先天性障害を持つ子供が産まれることとなりました（館内には死産となったホルマリン漬けの胎児も展示されています）。
その影響はまだ続いており、孫や曾孫の代になる今でも先天性障害を持つ子供が産まれているということです。

枯葉剤の影響はベトナム人だけではなく、枯葉剤を撒いた側のアメリカ兵にも及びました。
帰還したアメリカ兵はその後遺症に苦しみ、また帰還兵の子供にも先天性障害を持つことが多かったということです。
アメリカ政府は枯葉剤の影響を受けた帰還兵には補償をしましたが、未だにベトナムでの枯葉剤の影響を否定し、ベトナム政府はもとより、ベトナムの人々に補償どころか謝罪のひとつもないそうです。

それでもベトナムの人々は障害に屈することなく、今ある現状を受け止めて前を向いていると感じます。
この戦争証跡博物館もアメリカに対するメッセージも強いことながら、戦争の悲惨さ、枯葉剤の悲惨さを伝える内容となっているように思います。

またこの博物館では殉職した戦場ジャーナリスト（戦場カメラマン）の方々の遺作も展示されています。
日本人のジャーナリストはベトナム戦争に関連して３名が亡くなっているそうです。

峯弘道氏（1968年フエ近郊にて没）
沢田教一氏（1970年プノンペンにて没）
一ノ瀬泰造氏（1973年シェムリアップにて没）

改めてもう一度言うことではないですが、戦争ほど悲惨なことはありません。
極一部の人の利益のため、人が人を殺すことを求められるなんて絶対にあってはいけけないことです。
今でも起こっている世界の紛争を止められるのは世界の人たち、我々今を生きるすべての人たちの強い意志だと思います。
そのためにはこういった過去の過ちを知ることがとても大切です。
コロナが終わってホーチミンにお越しになられた際には、ぜひこの戦争証跡博物館に来ていただき、戦争について考えていただければと思います。

日本は非常事態宣言が続いていますが、ここベトナムでは外国人の入国はできないものの少しずつ日常が戻ってきています。
今のあいだに少しずつホーチミンの観光地を巡り、コロナが終わって皆さんがお越しいただけるときにご案内できるようにしておきます。